Japanese
English
特集 平衡機能と姿勢反射
訓練の平衡生理—或る狂言の姿勢とのりもの酔い
Physiology of training: Human posture and motion sickness
福田 精
1
Tadashi FUKUDA
1
1岐阜大学
1Gifu University Medical School
pp.639-648
発行日 1974年8月10日
Published Date 1974/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903644
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序
ふなよい(舟酔い,舟暈い,sea sickness)と呼ばれる特異な病態も交通機関の発達に伴ってふねに限らず電車,自動車,また航空機と各種ののりもので起こるので,それぞれくるま酔い,空酔い,まとめてのりもの酔い,動揺病motion sicknessと呼ばれている。こののりもの酔いの原因はいろいろあげられるが,繰り返し内耳前庭迷路に加えられる動揺刺激により惹起される病態であることは経験的に知られている。筆者はのりもの酔いを平衡生理,姿勢反射の観点から検討し,この発生にはヒトの姿勢に重要な因子があることを述べたい。すなわち酔いやすい姿勢と酔いにくい姿勢があること,のりものに慣れると酔わなくなること,自分で自動車を運転しあるいは舟を漕げば酔うことはないが,客となり乗っていると酔うこと,これらのことはいずれも姿勢に原因があることを実験をまじえつつ説明する。かつ,のりもの酔いが慣れによって起こらなくなる問題を検討しているうち,はからずも一般体育における訓練に関して姿勢反射の面から新しい平衡生理を明らかにしたので,これを最後に述べる。以上,論文の表題を「訓練の生理」とした理由を述べ序文とする。
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