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特集 脊髄血管障害
脊髄血管障害の病理解剖—非動脈硬化性病変ならびに鉛筆状軟化
Pathology of vascular disorders of the spinal cord: Non-arteriosclerotic disease and pencil-shaped softening
長嶋 和郎
1
Kazuo NAGASHIMA
1
1東京大学医学部病理学教室
1Dept. of Pathology, Fac. of Medicine, Univ. of Tokyo
pp.512-524
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903634
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I.はじめに
脊髄の非動脈硬化性循環障害はきわめてまれなものであり,散発的に報告例がみられるにすぎない。したがって現在これらを統計的に扱うにはまだ困難な段階である。このようなまれな疾患群を一つにまとめて論述するには筆者自身経験が浅く,その目的を充分に達せられないことをあらかじめご容赦願いたい。
脊髄の非動脈硬化性循環障害を表1のごとく分けることを試みた。初めに,Ⅰ.動脈性とⅡ.静脈性とに分け,さらにそれぞれを血管炎,血栓・塞栓症,遠隔部位での血行障害の三つに細分した。本論丈では梅毒性,結核性などの原因の明らかな血管炎は除いて扱うことにしたので脊髄を侵すほとんどの動脈炎は膠原病の範疇に含まれる。したがって動脈炎は膠原病の中で考察した。また動脈も静脈も平等に侵す特異な肉芽腫性血管炎は動脈炎の項で扱った。次に脊髄病変の病理学的所見より循環障害の関与が推測されるものを,Ⅲ.とし,この中に脊髄外傷・圧迫性脊髄炎,放射線脊髄炎,脊髄鉛筆状軟化を入れてみた。
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