Japanese
English
特集 第9回脳のシンポジウム
主題:脳血管性障害
脳出血の病理,ことにその動脈病変について
Pathology of cerebral hemorrhage, with special reference to arterial changes in the brain
吉田 洋二
1
,
新開 紘子
1
,
金子 雄輔
1
,
大根田 玄寿
1
Yoji YOSHIDA
1
,
Hiroko SHINKAI
1
,
Yusuke KANEKO
1
,
Genju OONEDA
1
1群馬大学医学部第二病理学教室
1The Second Department of Pathology, School of Medicine, Gunma University
pp.1124-1131
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903587
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I.はじめに
高血圧性脳内出血の直接原因に関しては,古くから静脈出血説,細血管出血説,動脈出血説などさまざまな説があるが,最近は動脈破綻説が支配的である。動脈破綻の原因として脳内動脈の粥状硬化をあげている説もあるが1),一般に粥状硬化に陥った脳内動脈の壁はアテロームによって中膜や内弾性板が限局性ではあるが完全に破壊されていても,アテロームをおおう内膜に細胞増殖や膠原線維の増加があってその部は補強され,内腔は一般に狭いので,この状態のままでは動脈は破れるとは考えられない。一方,脳出血例や脳出血を伴わない高血圧例の脳内動脈には,血管壊死すなわち血漿性動脈壊死2)やそれによる脳内小動脈瘤が見られ,それが破綻し出血巣を形成していることがあるので,動脈破綻の直接原因として血漿性動脈壊死に基づく脳内小動脈瘤をわれわれは重視している。
そこで血漿性動脈壊死とそれに基づく脳内小動脈瘤の成り立ちを研究した。
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