論述
腰痛,ことに椎間板ヘルニヤ
片山 良亮
1
1東京慈恵会医科大学整形外科
pp.233-243
発行日 1966年6月25日
Published Date 1966/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908435
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本日は腰痛について申し上げます.ところで腰イタと申しますと,学生諸君は,あれは年寄りの病気だと思つて,これから一ねむりするか,それとも逃げだそうかと思案中ではないかと思います.しかし,そうは参りません.何故かと申しますに,最近青年の老化ということがいわれます.これはどんな意味かと申します,古い所に例をとりますと,明治維新の頃に志士といわれた方たちは,自分が立たずんば国家が立たずという気慨をもつておりましたが,最近の青年の中にはなんとなく大学に入り,それからマージャンとパチンコに日を送り,そのうちに,ずるずると卒業してサラリーマンになり,それからは働かず怠けて日を送る青年もあると聞きますが,このようなのを青年の老化と申します.また新しい所に例をとりますと,私どもの卒業した頃は自分の好みによつて内科をえらぶか外科をえらぶか,それとも基礎医学を修めるかと,自分の将来をきめたものでありますが,最近の学生諸君の中には,あの科は健康保険の点数が低いからやめた,基礎医学では貧乏するかも知れないからやめた,しかしあの科目は保険点数が高いからというように,自分の将来をきめる方があると聞きますが,かかる状態を青年の老化と申します.そうして,この青年の老化の精神が骨の髄までしみこみますと,肉体的に若い諸君の身上にも何時,腰イタが起るかわかりませんから今日,あすにも身に振りかかつた病気と思つて,これから一時間ほどよく聞いて戴き度いと思います.
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