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特集 小脳
錐体外路症状,ことに振戦と舞踏病様運動に対する小脳系の関与—サルにおける実験神経学・3
Importance of cerebellar hemispheric structures in production of tremor and choreic movements in human and monkey
楢林 博太郎
1
,
小坂 健二
1
,
後藤 昭
1
Hirotaro NARABAYASHI
1
,
Kenji KOSAKA
1
,
Akira GOTO
1
1順天堂大学医学部神経学教室
1Department of Neurology, Juntendo Medical School
pp.934-940
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903554
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錐体外路系という言葉の定義の中に小脳核を含むかどうかについては,基本的に間脳諸核に限定する多くの考え方(主としてドイツ学派)とともに,また不随意運動の発現に重要な役割を占めるゆえに小脳核をも含めて考えるべきであるとする態度も少なくはない。このことは本来の錐体路,錐体外路という概念,役割についての解釈の相違に基づくものであるし,現在もくり返し明快に解決されない議論の対象となってきているが,少なくとも臨床的に,小脳の疾患における不随意運動の発現ということは,よく知られている.上小脳脚や,歯状核,また歯状核一視床路の病変によって特有の振戦tremorやミオクローヌス運動myoclonic movementの出現することは日常の臨床や,数多くの文献に明らかであり,後述の平山による「小脳症状」をも参考にされたい。これらの症状の見出される場合,なんらかの役割,重要性をもって小脳病変が考慮されねばならない診断学的な意味については疑いはないが,これらの症状の出現については小脳病変以外の要素が同時に関与していることも当然考えられなければならない。逆にいえば,これまで錐体外路症の不随意運動と考えられてきた症状の発現に対して,小脳構造のもつ重要性が明らかにされねばならないと考えられる。この小論はこれまでの筆者による1,2の発表と重複するところはあるが,錐体外路症状のいくつかについて,このような観点から述べることとしたい。
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