Japanese
English
特集 小脳
大脳集合電位活動の小脳性制御
Cerebellar control over the cerebral masspotential activity
佐藤 謙助
1
Kensuke SATO
1
1長崎大学医学部生理学第二教室 神経情報研究室
1Neuroinformation Laboratory, The Second Department of Physiology, Nagasaki University School of Medicine
pp.923-933
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903553
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Ⅰ.大脳脳波への小脳刺激効果
大脳の集合電位活動への小脳活動の関与はBeckとBikeles(1912)4)が犬の小脳のⅠ脚crusⅠやⅡ脚crusⅡに温熱刺激を与え,電流計で大脳運動領の電気的活動を観察したのに始まる。しかし,彼らは一定の結果を得なかった。その後Walker(1938)34)はネコの遊離脳で,小脳半球に12〜25回/秒の感応電流頻数刺激を与えた。すると,運動閾値程度では,大脳運動領の脳波の周波数が高くなり,振幅も増大した。この変化は刺激の反対側の方がまさっていた。ところが,小脳皮質表面にノボカインを塗布したり,氷で冷却すると,この効果は消えた。同様な効果はMoruzziとMagoun(1949)4)が室頂核刺激でもえた。またMollica,MoruzziとNaquet(1953)11)やCrepax(1956)4)は小脳前葉刺激で認めた。しかも,大脳皮質脳波の睡眠紡錘群波は前葉皮質を表面正の電位にすると,低振幅速波に変わった。この効果は,知覚性と網様体性覚醒に変化を起さぬほどの少量のクロラロースの静脈注射で消えた(Mollica,MoruzziとNaquet,1953)11)。
古くから,小脳が侵されると,身体の平衡や運動に失調を起こすので,小脳は姿勢や運動の制御に必要であることが知られていた。
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