Japanese
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特集 小脳
小脳のシナプス伝達物質
Synaptic transmitters in the cerebellum
小幡 邦彦
1
Kunihiko OBATA
1
1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Tokyo Medical and Dental University
pp.911-922
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903552
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小脳には苔状線維,登上線維,顆粒細胞,プルキンエ細胞,バスケット細胞,浅層星状細胞,ゴルジ細胞および皮質下核細胞の8種の神経要素があり,その間の組みあわせで17種もの化学伝達性シナプスが形成されている30,53)。たとえばプルキンエ細胞の軸索が皮質下核細胞,バスケット細胞,ゴルジ細胞などとシナプス結合するように,一種の要素の軸索が枝分かれして,いくつかの要素との間にシナプスを形成している場合が多いわけであるが,そのようなシナプスは興奮性か抑制性かに関してはいずれも同じ機能を持つことが示されており53),また神経系一般で,一つのニューロンはその軸索末端で同一の伝達物質を放出するというDaleの原理に矛盾する場合は見出されていないから,小脳でもそれぞれの神経要素は一種ずつの伝達物質を持つものと考えてよいであろう(ただし求心線維はいくつかの起始核から発し,皮質下核には介在ニューロンも存在するであろうから,これらの要素を伝達物質の面で単一視してよいかどうかはまだ明らかでない)。各伝達物質を最終的に決定し,さらに化学的側面から小脳機能を理解するというゴールへはまだ遠いが,近年多くの研究者の関心が集まり,急速な進歩がみられた分野であるので,ここで現在の知識を要約してみたい。
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