Japanese
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特集 小脳
プルキンエ細胞樹状突起の電気現象
Electrical phenomena of the Purkinje cell dendrites
藤田 安一郎
1
Yasuichiro FUJITA
1
1日本医科大学第二生理学教室
1Department of Physiology, Nippon Medical School
pp.902-910
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903551
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小脳の皮質分子層には種々の神経細胞の樹状突起が存在する。しかし今まで報告された限りではプルキンエ細胞の樹状突起に由来すると思われる電気現象が圧倒的に多いので,ここでは主としてプルキンエ細胞の樹状突起の電気現象を論ずることにする。形態学的に見るとプルキンエ細胞は樹状突起の最もよく発達した神経細胞の一つであり,その樹状突起には多数のシナプスが存在するのであるが4),この樹状突起の電気現象を直接の研究対象とした論文は比較的少ない。このことは海馬や新皮質の樹状突起に関する研究が多数存在するのに比較すると意外な感がある。すなわち海馬や新皮質の錐体細胞は尖頭樹状突起(apical dendrite)と称する特殊な発達をとげた樹状突起をもっており,これを対象として多くの研究が行なわれてきた。その場合に論争の中心をなしたのは果たして樹状突起はスパイクを発生し得るか否かということであった。そしてスパイクを発生しうるという説とこれを否定する考え方とが激しく対立した時期もあったが,とにかく樹状突起には生理的条件下でスパイクを発生しうる場所もあるという意見が大勢をしめるに至ったように見える。このきっかけとなったのはSpencer and Kandel20)が,Fast prepotentialと称する尖頭樹状突起に由来すると思われるスパイクを海馬錐体細胞の細胞体からの細胞内誘導によって発見したことであった。
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