Japanese
English
特集 シナプス Ⅲ
小脳プルキンエ細胞の抑制性伝達物質
Inhibitory Transmitter of Cerebellar Purkinje Cells
小幡 邦彦
1
Kunihiko Obata
1
1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.828-837
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903087
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最近の神経生理学における進歩の一つとして,小脳系での各種ニューロン間のシナプス構築およびその機能の解明があげられる(Eccles,Ito & Szentagothai,1967参照)。その中で小脳皮質のプルキンエ細胞はすべて抑制性ニューロンであるという結論は従来の概念を一変させるものであつた。すなわちプルキンエ細胞の軸索は主として小脳核に,一部はlong-corticofugal fiberとしてダイテルス核に至り,またその軸索側枝は小脳皮質内に終るが,そこで標的ニューロンとの間に形成されるシナプスはすべて抑制性であると考えられる。哺乳類の中枢神経系における抑制性シナプス伝達の研究には困難な点がいろいろあるが,このプルキンエ細胞の軸索末端が形成する抑制性シナプスは組織学的配置が明確である点で,伝達物質の同定や作用機構の研究に好適なシステムであるといえる。筆者らはこのシナプスにおけるγ-アミノ酪酸(GABA)の抑制作用に着目し,伝達物質としての条件にどこまで適合するかを電気生理学的および生化学的にしらべ,若干の結果をえたのでここに報告する。
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