Japanese
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特集 神経疾患と脂質代謝
正常神経の脂質代謝—中枢神経の脂肪酸代謝
Metabolism of the fatty acid in the central nervous system
植田 伸夫
1
Nobuo UETA
1
1帝京大学医学部生化学教室
1Department of Biochemistry, Teikyo University School of Medicine
pp.466-474
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903511
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I.はじめに
脂肪酸代謝といわれることの内容を考えてみると,1)脂肪酸のde novo synthesis,2)それにつづくelongation, desaturationなどの修飾,3)そして脂肪酸の酸化分解という,脂肪酸レベルでの直線的な取り扱い以外にも,脂肪酸をエステル結合なり,酸アミド結合で持つ脂質というレベルからは,4)脂肪酸の脂質への組み込み,5)その逆の脂質からの脂肪酸の離脱という,一つの次元の異なった問題がある。これは,多分脂質代謝といわれる領域で主として扱われるであろう。しかし,脂質に組み込まれていた脂肪酸が,いったん遊離してmodificationを受けてから,また脂質に組み込まれるとか,あるいは脂質に結合したまま脂肪酸が特異的な修飾を受けるとか,脂質による特別な脂肪酸要求とかを考えると,脂肪酸レベル問題と,脂質レベルの問題は,きわめて密接した問題として扱われなければ,ならないであろう。さらに,これらの代謝のsubcellularの場というものを考えると,6)脂肪酸の細胞内transportの問題があり,また脳の脂肪酸代謝というように,一つの臓器(一つの細胞であっても同じだが)という場を設定すると,7)外部からその臓器への脂肪酸のtransportまたは供給,8)臓器から外部への脂肪酸のtransportまたは排出という問題が当然ありうる。
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