Japanese
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特集 神経疾患と脂質代謝
正常神経組織の脂質代謝—糖脂質を中心として
Metabolism of glycolipids in nervous tissue
林 浩平
1
Kohei HAYASHI
1
1群馬大学医学部生化学教室
1Department of Biochemistry, School of Medicine, Gunma University
pp.496-505
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903514
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脳のリン脂質代謝のほぼ全容は10年以上も前に明らかになっているのに比べて,糖脂質代謝,とくにその生合成経路についてはいまだ不明の部分が多い。リン脂質代謝の研究は脳以外の臓器たとえば肝臓を用いても行なえること,および32Pを効果的に利用できることが利点となってその進歩をはやめたといえる。糖脂質の場合は脳にだけしか存在しないものがあるため,この種糖脂質の研究は脳以外の臓器ではできない。また一般に代謝活性が低く,セレブロシドのようなミエリン構成脂質は,ミエリン形成期間内だけその生合成が盛んであるため,この期間以外では生合成の研究の対照になりえないことなどが,研究をおくらせたと思われる。
ある種の糖脂質の発見とその代謝経路は,リピドーシスと呼ばれる一群の脂質蓄積症との関連でよく研究されてきた。リピドーシスは一般に各種糖脂質の分解に関係したキイ酵素(key enzyme)の欠如によっておこる。したがって糖脂質代謝は生合成よりも,分解過程に重点が置かれてきたことも当然であった。
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