Japanese
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特集 神経疾患と脂質代謝
正常神経組織の脂質代謝—リン脂質を中心として
Metabolism of phospholipids in the normal central nervous tissue
千田 信和
1
Nobukazu CHIDA
1
1東北大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, Tohoku University, School of Medicine
pp.483-495
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903513
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生体の膜は蛋白と脂質が主成分であり脂質中とくに燐脂質が重要な構成要素となっている。ここでは膜構造とは細胞膜,mitochondria, cristae, myelin等々を総称したものである。膜構造の多い脳では燐脂質が多く,mitochondriaの少ない筋肉細胞では燐脂質が非常に少ない1)のは興味ある対象である。mitochondriaの内膜における電子伝達系が燐脂質を必要因子としており2〜4),また燐脂質を必要とする酵素が存在すること5〜6)なども明らかにされている。
脳においてはmyelinという特殊な膜構造があり,脳生理上特別の意義があるがさらにinositol phosphatidesは交感神経節の刺激伝導においてpostsynapticの現象に関与していると考えられ,またpolyphosphoinositidesは2価の陽イオンとの親和性があり神経線維の膜において重要な役割をもつとされている7)。
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