Japanese
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特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996
2 皮膚疾患の病態
皮膚型脂肪酸結合蛋白質と表皮脂質代謝
Cutaneous fatty acid-binding protein and epidermal lipid metabolism
渡辺 力夫
1
,
山本 綾子
1
Rikio WATANABE
1
,
Ayako YAMAMOTO
1
1新潟大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Niigata University School of Medicine
キーワード:
脂肪酸結合蛋白質(FABP)
,
皮膚型脂肪酸結合蛋白質(C-FABP)
,
脂質代謝
Keyword:
脂肪酸結合蛋白質(FABP)
,
皮膚型脂肪酸結合蛋白質(C-FABP)
,
脂質代謝
pp.72-77
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901845
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脂肪酸結合蛋白質(fatty acid-biding pro-tein,以下FABP)はサイトゾルに存在し,脂肪酸の細胞内転送や代謝に関わる蛋白質として注目され,各臓器には独自のFABPが存在することが明らかにされていた.近年筆者らは,ラット正常皮膚から皮膚型FABP(cutaneous FABP,以下C-FABP)の単離およびそのcDNAのクローニングに成功した.C-FABPの皮膚における局在を免疫組織化学的に検討したところ,C-FABPは有棘層上層から顆粒層,および脂腺に特異的に発現していた.更に乾癬や有棘細胞癌においては,正常表皮に比較して広い範囲で強く発現していることもわかった.表皮と脂腺は脂質代謝が活発に行われている部位であることから,C-FABPはこれらの部位で他のFABPと同様に,脂肪酸の転送や代謝に機能していると考えられる.C-FABPの詳しい機能的解析は今後の課題であるが,表皮の脂質代謝の解明に新たなアプローチが可能になったと思われる.
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