Japanese
English
特集 神経疾患と脂質代謝
正常神経組織の脂質分析
Lipids in the nervous system
山本 章
1
,
石部 武
1
Akira YAMAMOTO
1
,
Takeshi ISHIBE
1
1大阪大学医学部第二内科
1The Second Department of Internal Medicine, Osaka University Medical School
pp.441-453
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903509
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Ⅰ.緒言(膜構造と脂質組成) 細胞の膜構造,あるいはSubcellular particleはそれぞれの分画に特徴的に分布する酵素(marker enzyme)によって機能的に識別されるが,脂質組成に関しても,やはりmarker lipidと呼んでよいような特徴的な成分を含んでいる。その典型的なものはmitochondriaに分布するcardiolipin(diphosphatidylglycerol)であり,そのほかにも多くの酸性の複合脂質が膜特異的分布を示すことが知られている(表1)。
肝臓や神経系などの各組織は,それぞれ,組織としての機能に応じた細胞構築と,細胞内の膜構造を発達させている。したがって,個々の組織の脂質分析を行なった場合には,その組織の機能に結びついた特徴的な脂質組成を識ることができる。Rouser1)は,複合脂質,ことに燐脂質組成の上から,動物の組織を四つの型に大別した(表2)。Ⅰ型は心筋やbrown fatなど,mitochondria richの細胞から成り立っていて,酸素消費と熱産生の大きい組織であり,燐脂質組成ではcardiolipinが大きな比率を占めている。
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