Japanese
English
特集 第8回「脳のシンポジウム」
主題:神経病における疫学的研究
紀伊半島における筋萎縮性側索硬化症の疫学的研究
Epidemiological investigation on amyotrophic lateral sclerosis in the Kii peninsula
八瀬 善郎
1
Yoshiro YASE
1
1和歌山県立医科大学神経病研究部
1Division of Neurological Diseases Wakayama Medical College
pp.30-33
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903468
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
わが国における筋萎縮性側索硬化症(ALSと略)の最初の報告は1890年平井1)による臨床例の報告があるが,本病が紀伊半島に多発することを初めて指摘したのは,1911年三浦2)によってである。以後1960年までの間紀伊半島のALSに関する記載は表1に示すごとく10指にあまる。1961年以降は,病院受診者統計や疫学的研究も系統的に行なわれるようになった3〜7)。
しかし本病が紀伊半島全体として頻度が高いのか,あるいは特定の地域に集積発生するのかが不明であった。
1961年木村4)により和歌山県東牟婁郡古座川町三尾川(人口1,307)に4例のALS患者が見出され,住民検診を行ない,1963年ALSおよび類症(運動ニューロン疾患)の高頻度が確認された。その後追跡調査中1967年三重県渡会郡南勢町穂原で数名の本症例がみられ,1969年にALSおよび類症とパーキンソン病の高頻度が確認された。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.