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I.はじめに
筋萎縮性側索硬化症(以下ALSと略)の1世紀以上に及ぶ研究の歴史は,そのまま現代医学の直面する苦悩の歴史といってもよい。ALSを初めて一疾病単位として記載したCharcot1)の報告や,その後に現われた多くの秀れた研究報告,総説で,ALSの臨床像や病理所見は,ほとんど記載されつくした感があるのに,いまだにその原因,治療については手がかりすらつかめていない。試行錯誤の連続であるALSの膨大な研究の中には,しかし,かすかながらも本態解明への手がかりとなり得るような研究結果がないわけではない。厚生省特定疾患ALS研究班(椿忠雄班長)ではALSを全身疾患として,より包括的立場より追究してきたし,文部省特定研究「難病」ALS研究班(豊倉康夫班長)では,ALSのもっとも基本的な変化である運動ニューロンと知覚ニューロンの相違から検討しなおしてきた。こうした新しい研究方向とともに,ALSの地域集積性に関する研究も興味あるものである。以下現在ALS多発地として確認されている紀伊半島とマリアナ群島グアムにおけるALS研究の流れについて述べ,あわせて本病研究の問題点にふれてみたい。
Recent discovery of isolated aggregation of Amyotrophic Lateral Sclerosis (ALS) cases in the Western Pacific (Kii and Guam) has thrown a new light on the pathogenesis of ALS.
The recent results are summarized as follows: Epidemiological investigations have revealed the decline of the rate of the disease in both areas by approximately 30 to 50 per cent for the past decade.
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