Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
単眼症
Cyclopia (Holoprosencephaly)
岩堀 修明
1
,
岡本 道雄
1
Nobuharu IWAHORI
1
,
Michio OKAMOTO
1
1京都大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.249-258
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903374
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I.はじめに
単眼症Cyclopiaの名前はホメロスの「オデュッセイア」に出てくる単眼の巨人Cyclopsに由来する。ホメロス自身この奇形を知っていたのか,それとも彼の想像上の産物なのかはわからないが,いずれにしても本症は眼や鼻の異常,いわゆるnasofacialの奇形を伴うのでその存在は古くから注目を引いたものと思われる。
本症を比較的くわしく記載したのはLicetusが最初であるといわれ,1665年に出版された彼の著書「De monstris」には一つの眼の上に二つの鼻(吻)をもった奇形が記されているという。この系統の奇形は脊椎動物全般にみられ,その異常形態の基本は同じである。本奇型は実験的にも惹起することができ,ある種の動物においては遺伝的にこれをきたす系列も知られている。これらについての研究により本症に対する知見は著しく増大した。
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