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特集 第7回脳のシンポジウム
主題—グリア細胞
神経病理学の立場からみた星状グリアの機能—星状グリアとニューロンの両病変間のDissociationを中心に
Functions of astrocytic glia from neuropathoiogical viewpoint with special reference to dissociation of alterations between astrocytic glia and neuron
白木 博次
1
Hirotsugu SHIRAKI
1
1東京大学医学部脳研究所病理部
1Department of Neuropathology, Institute of Brain Research, Tokyo University Medical School
pp.105-124
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903356
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I.はじめに
中枢神経系におけるグリア系には,周知のように,星状,オリゴデンドロ,ミクロの3者があり,過去の神経病理学的また個体発生学的諸経験の蓄積を基盤に,各グリアのもつ機能面が論ぜられてきた。そのなかで,ミクログリアについては,その発生学的由来の点では議論が岐れているが,機能面については,神経組織の変性,崩壊過程に対して二次性に反応し,その分解,清掃両機能に積極的に関与してゆく点では異論は少ないとみてよい。またオリゴデンドログリアは,脳の発達の過程における髄鞘形成の進展に併行してふえ,また脱髄疾患などの場合,著しく減少する傾向があるなどの諸点から,とくに髄鞘の代謝に積極的,一次的に関連すると考えられてきた。
一方,星状グリアは,灰白質と白質とでは,その形態をやや異にするが,少なくとも神経組織の変性は,崩壊過程に対しては,多数の線維を増生することによつて瘢痕を形成し,血管などの間葉系とともに,その組織欠損を補填してゆく器質化機転に積極的に関与する事実については,すでに確立されたものといえる。
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