Japanese
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特集 中間径フィラメント
アストログリア・フィラメントの生化学
Biochemistry of the astroglial filaments
森 啓
1
,
黒川 正則
2
Hiroshi Mori
1
,
Masanori Kurokawa
2
1東京都老人総合研究所生理学
2東京大学医学部脳研究施設生化学
pp.500-504
発行日 1986年10月15日
Published Date 1986/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905427
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I.グリアフィラメントとニューロフィラメント
神経組織における中間径フィラメントにはグリアフィラメントとニューロフィラメントの二種類がある。細胞分布の違いはもちろんだが,両者には形態学的な差異も認められている1)。グリアフィラメントにはケバ状構造がない。またグリアフィラメントはしばしば束状にパックされて観察される。両フィラメント間の相違点に基づく分離精製法が開発されない限り,神経組織の細胞破壊の瞬間から両フィラメントの相互混入はさけ難い。グリアフィラメント研究の一つの柱は両フィラメントの分別にあるといっても過言ではなく,このためにいくつかの工夫が重ねられてきた。実験材料とする組織部位の選択,グリオーシスに陥った脳部位の利用,Waller変性神経の作成,抽出条件の選別などである。最近では重合,脱重合の技術とカラムクロマトグラフィーの技法が加わり,グリアフィラメントが蛋白化学の研究対象となっているのみならず,さらに遺伝子構造の解析にまで進んでいる。
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