Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
パーキンソン症候群は初老期から老年期にかけての最も多い神経疾患の一つであるにもかかわらず,従来の内科的治療の効果には限界があり,常に臨床医を悩ませてきたものである12,37,60,65,78)。しかるに近年,脳,とくに基底核および脳幹のcatecholamine代,謝に関する研究の著しい発達とともに,1-dopa試薬による治療成績が世界各地から報告されるにいたり,合衆国では1970年6月ついに食品薬物管理局が公式に1-dopaを承認した。1817年にJames Parkinsonが"shaking palsy"として記載して以来本疾患研究の歴史の中でも,今や最大の転換期といえる。また,神経疾患の薬理学的治療の中でも,いろいろな観点からこれほど注目を集めた例は数少ない。
ここで,従来の抗パーキンソン剤を初め,amantadine,さらに最近の1-dopaにいたる薬剤について,とくにその作用機序に重点をおいて文献的に考察し,さらにその治療の根底となる本疾患の病態生理・化学的事実を論ずることは,意義あるものと思われる。
The medical treatment of Parkinson's syndro me was reviewed with a particular importance placed on the pharmacological mechanism of each agent. The conventional antiparkinsonian agents such as anticholinergic drugs and antihistaminic drugs, imipramine derivatives, amantadine hydrochloride (Symmetrel), and 1-dopa were included. The experimental data of Snyder et al. suggesting an inhibition of reuptake of dopamine to the synaptosomes as a probable mechanism of these conventional antiparkinsonian agents were introduced.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.