Japanese
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展望 臨床
パーキンソン症候群研究の進歩
A Review of Progress in Parkinsonism
日高 虎之助
1
Toranosuke Hidaka
1
1東大美甘内科
pp.174-178
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901532
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Parkinson症候群のうち重要なものは,震顫麻痺と脳炎後パルキンソニスムスとである。震顫麻痺は1817年にJames Parkinsonが始めてこれを記載して以来,最近もこれをみる機会は少くないか,脳炎後パルキンソニスムスは今より約40年前,第一次世界大戦後に流行した脳炎罹患後に非常に多くの患者が発生し,これを脳炎後パルキンソニスムスと名付けて他と区別されたが,最近は新たに登場するものは比較的稀れとなつて来た。本症は一たび発病すると,通常治癒しないのみか,反つて次第に増悪してゆくものが多く,長い慢性の経過の後には甚だしく就業能力,随意運動が障害されて重症のものは全く廢人の如き状態に陥るものである。これが故に本症の治療に対しては従来から関心が払われており,最近に至つても新しい治療法が相次いて報告されている。
本症は当初Lewy等により老人病と考えられ,遺伝性素因の重要性もまた指摘されていたが,その後諸家の研究によつて本症の本態が漸次明かになりつつある。
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