Japanese
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現在までに行なわれている重症筋無力症の治療では,神経筋接合部の刺激伝達機能を回復させる目的で抗ChEが中心に使用されている。しかしこのほかにも抗ChE剤による作用を増強するために電解質調整や,抗アルドステロン剤,エフェドリン,グアニジン,唾液腺ホルモンなど各種の薬剤の併用が考えられている。本症では,妊娠,出産,月経などにより経過に影響されることがしばしばみられるし,また甲状腺機能異常が経過に関連をもち,治療上にも甲状腺機能の調整が重要であることが知られている。すなわち,ホルモン異常と関連した生体内での各種の代謝異常が背景にある場合には,神経筋接合部の刺激伝達機能になんらかの影響を与えることが考えられる。一方また重症筋無力症の病態として糖代謝異常が存在し,本症と対照例で比較してみると血中のlactic acid,pyruvic acid,citric acid,α-keto glutaric acidなどの低下があり,抗コリンエステラーゼ剤使用で,これらが上昇することも報告されている。糖代謝異常を調整することも治療上一つの補助的手段とされている。
It is considered that the symptoms of myasthenia gravis are related to a disturbance of acetylcholine metabolism which includes a defect in the production of acetylcholine or an excess of the esterase at the myoneural junction. On the other hand, myasthenia gravis has also a metabolic or endocrine disorder which is observed in various clinical cases. The metabolic disorders in the disease have influence on the effects of anticholinesterases. Consequently, many patients do not obtain complete relief; others may develop myasthenic crisis or have sudden severe relapse despite medication.
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