Japanese
English
特集 筋無力症
指定討論:重症筋無力症における瞳孔運動機能障害
Pupillary Involvement in Myasthenia Gravis
木下 真男
1
Masao Kinoshita
1
1東邦大学医学部第二内科教室
1The Second Department of Internal Medicine, Toho University
pp.830-831
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903298
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- Abstract 文献概要
重症筋無力症において外眼筋の障害が非常に高頻度に見られるのは周知のことであるが,内眼筋の障害に関してはあまり知られていない。演老は他覚的手段によつて瞳孔運動の障害を明らかに示し,この疾患に内眼筋の異常がひろく存在することを明らかにした点,まことに興味ある成績と考えられる。しかしながらこれらの障害の局在部位,発現機序の解明にはなお不明の点が多く,これを単純に副交感神経系の障害と考えてよいか否か疑問の点が考えられる。以下2,3の点に関し障害部位を推測する上で参考となる事項について討論を加えたい。
1)瞳孔運動がこれを輪状にとりまく括約筋と,瞳孔を中心にして放射状に存在する散大筋からなることはよく知られており,括約筋は形態的にも充分に筋肉と呼び得るが,散大筋は筋組織の発達が充分でなく上皮組織に類似の形態も有しており,myoepithelとも呼び得るような状態と考えられる。したがつてもし筋機能の障害が存在する場合,括約筋,散大筋両者に障害があつても瞳孔収縮の方の障害が明らかに出現する可能性はないであろうか。演者の発表ではpupilogramで瞳孔縮小運動にのみ異常が認められたことから副交感神経系の異常を考えているが,これは単に括約筋の方が瞳孔運動のうちに占める比重がより大きいための結果である可能性はないであろうか。
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