Japanese
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小児重症筋無力症の観察例をまず提示し,これに若干の考察を加える。
患者は女児で昭和40年,小学校6年,11歳の7月にころんで後頭部を打つたが,これはごくあたりまえのものでその後もとくに変わつたことはなかつた。その1か月後に左の目が細くなつたことに気がついた。翌年の1月には両眼がとろんとした目つきになり,限球の動きが悪く,とくに左右方向への動きが悪いことに母親が気がついた。視力には変わりなく,同年某医を訪ね重症筋無力症を疑われ,ワゴスチグミンが有効で,治療を始めている。以来約2年間その治療が行なわれている。その間42年3月,その医師より依頼され患者を診る機会があつた。その時の目の症状は眼瞼下垂,眼球運動不全(写真参照)とこれに伴う複視で,患者によればわずかに鼻声であるという。咀嚼,嚥下,四肢にはなんら異常は認められない。症状の改善のためワゴスチグミンは,43年5月に服薬を中止している。44年7月再び診察すると眼球の動きは外見上はほとんど異常はみられず正常状態に戻つている。患者の訴える複視から限球運動不全があることを知るのみである。眼瞼下垂も輻輳も十分に行なえる。
Upward rotation of the eye ball is the most affected in external eye movements in adult type of myasthenia gravis. In infantile myasthenia gravis, however, the most involved movement of the eye ball is in inward rotation. This is one of the characteristics of child myasthenia gravis. The observed case is presented below.
Case S.Y. (16 year-old-girl): at age 11, lid-ptosis was begun in the left eye. Five months later, external ophthalmoplegia was noted by her mother.
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