Japanese
English
特集 筋無力症
重症筋無力症の電気生理学的研究—二重刺激による検討
Electrophysiological Study on Myasthenia Gravis: Studies by Subliminal Double Electrical Stimulation
里吉 営二郎
1
,
木下 真男
1
,
土居 良雄
1
,
中里 厚
1
Eijiro Satoyoshi
1
,
Masao Kinoshita
1
,
Yoshio Doi
1
,
Hiroshi Nakazato
1
1東邦大学大橋病院第二内科
1Toho University School of Medicine, Ohashi Hospital 2 nd Department of Medicine
pp.832-836
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903299
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重症筋無力症の電気生理学的な特徴の一つとして,末梢神経に反復電気刺激をあたえて,筋の活動電位のAmplitudeを観察した場合,もし刺激の強さが最大収縮を発生するより大であれば(supramaximal)その電位が漸次下降する現象が知られている。この電位の漸減現象は神経においては認められず,また筋を直接刺激して得た活動電位でも認められないことから,刺激が神経筋接合部を通過することに原因があることは明らかであり,現在のところこの電位の漸減がそのまま臨床的に見られる易疲労現象の本態と考えられているが,それではどうしてこのような現象が生じるのかその機序はいまだ明確ではない。
上記の末梢神経連続刺激による筋活動電位の観察に変えて,2回の刺激を適当な間隔で与え,第1の刺激(条件刺激)に対する筋活動電位と,第2の刺激(テスト刺激)に対する活動電位とを比較することによつても,神経筋接合部の状態を推測することができると考えられる。この二重刺激試験は1912年にAdrianら1)がカエルの筋を用いて行なつており,適当な刺激間隔をあけると,第2発目の刺激(テスト刺激)で第1発目の刺激(条件刺激)に対する反応よりも大きな筋の反応が得られることを見出している。その後Harveyら2)は人で同様の成績を認めている。
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