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特集 神経病理—第12回日本神経病理学会学術研究会より
一般演題
連続剖検例における脊髄,後根神経節および末梢神経病変について
Spinal cord, posterior root ganglion and peripheral nerve in consecutive autopsy material
長嶋 和郎
1
,
太田 邦夫
1
Kazuo NAGASHIMA
1
,
Kunio OOTA
1
1東京大学医学部病理学教室
1Dept. of Pathology, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.483-490
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903404
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I.はじめに
いかなる臓器についてもいえることであるが,一つの特異疾患における脳脊髄系の病態像を正確に把握するためには,広く対照例を視察し,ことにそこに起こるべき年齢的変化20,30)や,基礎疾患が間接に及ぼす影響,さらに特異的非特異的治療の効果など,多角的な考察の上に立った検討が必要である。われわれはいわゆる癌性神経症(carcinomatous neuropathy)およびSMONの実態を把えたいという念願から,基本的にまず連続剖検例を系統的に検査してゆく必要を感じた。この種の研究はきわめて労が多く功が少ない嫌いがあって文献上にも信頼できるデータに乏しい。われわれは幸い秀れた剖検補手のたすけと全教室員の協力を得て,ほぼ1年間に187例の脳—脊髄—末梢神経標本を入手して,これを臨床所見と緊密に対比しながら検索することができた。なおこの研究は進行中であるがいままでの検索から得られた2,3の重要な点を例示したい。Subclinicalな病変,典型的神経病変の初期像,全く意外な所見ではあったが既往歴を丁寧に掘りおこして納得のいった症例など,神経系における病理学的検索の上に反省を求める所見が得られているので,将来の系統的研究の足がかりとなるものと考えている。
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