Japanese
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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—ウイルス感染と神経系(いわゆるslow virus infectionの考え方)
ウイルスによる実験的脳腫瘍
Virus-induced Brain Tumors
熊西 敏郎
1
,
生田 房弘
1
,
小宅 洋
1
,
植木 幸明
2
Toshiro Kumanishi
1
,
Fusahiro Ikuta
1
,
Yo Oyake
1
,
Komei Ueki
2
1新潟大学脳研究所神経病理
2新潟大学脳研究所脳外科
1Department of Neuropathology, Brain Research Institute, Niigata University
2Department of Neurosurgery, Brain Research Institute, Niigata University
pp.500-506
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903267
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Ⅰ.序
すでに発癌性の証明されたいくたのがんウイルスの中で,実験的脳腫瘍を形成する試みはDNA型ウイルスではpolyoma virus1),SV−402),Adeno−123)で,RNAウイルスではラウス肉腫ウイルス(RSV)4〜8)で報告されている。そのうち前三者は脳腫瘍形成の場合を含めて一般に限られた小動物にのみ発癌性を示すのに対し,RSVは広い宿主スペクトルムを有しニワトリなどの鳥類の他にマウス,ハムスターからイヌ,サルにいたる多種の哺乳動物にも腫瘍を形成することで知られている9)。それゆえ,がんウイルスを手段にして脳腫瘍を研究するとすれば大動物を含めた広い宿主範囲をもつたRSVが多くの利点を有し,研究目的によつては取り扱う腫瘍材料の量と質の面で有利に展開する可能性がある。本稿ではRSVのシュミットールピン株(SR-RSV)と成熟マウスの系でみられる脳腫瘍形成について簡単に述べ,それに関連するいくつかの問題にも触れてみたい。
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