特集 第6回脳のシンポジウム
主題—日本における神経化学
「日本における神経化学」司会総括
塚田 裕三
1
1慶応義塾大学
pp.378
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903249
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日本における神経化学はその歴史はなかなか古く,すでに戦前より精神科医の手によつて脳の不安定物質の測定が行なわれていました。この流れは戦後へと受け継がれ,戦時中英国,米国の精神病院で行なわれていた神経化学の研究は日本の研究者に多くの刺激を与え,戦後急速にこの方面の研究が組織的に行なわれる気運を作りました。
神経化学の生いたちが精神病の病因を脳の化学的変化に求めようとしたところから始つたことからしても,神経化学という研究分野は脳の働きの化学的背景の解明というところに主眼が置かれてきたのは当然の成り行きでありましよう。その結果脳の形態的,機能的特長を充分考慮した上で脳の化学的研究を進めるべきであることが強調されてきました。ここに神経化学の存在意義が求められているわけです。
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