特集 シナプス Ⅰ
司会総括—電顕による線維連絡の研究について
岡本 道雄
1
1京都大学医学部第1解剖学教室
pp.763-764
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903079
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最近の形態学の進歩はなんといつても電顕の導入によるものであるが,この電顕の研究が初めその飛躍的な拡大率から当然,細胞学の総論的なものに集中され,その次にこれが各論的なものに移行し,さらに,その第三期というか応用期に入つて,これが神経学研究の大きい分野であつた線維連絡の研究に用いられるようになつたのが今回の話題である。
従来,この線維連絡の研究は正常標本によるもののほかもつばらMarchi法(1885)およびGlees法(1946)またはNauta法(1954)によるものであつたがこれらすべて,そのノイロンの傷害に基づく線維の二次変性を利用したものである。電顕においても,この点は変わりはないのであつて二次変性に基づくシナプスの変性を指標としてその線維の行衞を確定するのである。
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