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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—脳研究のあり方(パネル討論)
脳のはたらきの2層構造性について—定位脳手術の経験から
Tonic and Phasic Function of the Brain from the Experiences of Human Stereoencephalotomy
楢林 博太郎
1
Hirotaro Narabayashi
1
1順天堂大学医学部神経学教室
1Dept. of Neurology, Juntendo Med. School
pp.379-386
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903250
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脳研究のあり方という,非常にフィロソフィカルなテーマを与えられまして,私正直いつてなにをしやべつていいかなかなかきまらなかつたんでございますが,そしてまた私どもの年齢では,あり方を考えるより,やはり自分自身がもつと勉強したほうがいいと思つております。私はこれまで,定位脳手術といいますが,主としてその前後の臨床ならびに臨床生理学的な事柄に興味をもつて20数年間やってまいりましたが,その過程での傾向の変化というか,そのコースを振り返つて,多少なにかお話を申し上げることができれば幸いだと思います。
Spiegelが1947年に定位手術を始めてからだいたい20数年,各国で始めてからおよそどこでも20年くらいの歴史がございます。その7割から8割の手術のindicationというものはParkinsonismsであつた。ところが,ご存じのように最近L-DOPAという,いわゆる先ほど高橋教授のお話にありましたようにDopamineの代謝異常を修正する新しい薬ができまして,Parkinsonismsはおそらく私の予想では近い将来,ステレオタキシーの対象から消えるであろうという状態にあります。そして私自身ステレオタキシーが将来どういうふうに進展していくかということについて考える時期として,一つの転機に今あるというふうに考えておりますので,過去20年間のステレオの経験についてお話しすることも,また多少意味があるかと思います。
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