特集 シナプス Ⅰ
司会総括
浜 清
1
1大阪大学医学部解剖学教室
pp.707
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903072
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シナプスの微細形態については,伝達物質の局在,前後シナプス膜の面積,およびその分子構成,シナプス間隙のひろがりおよびそのイオン組成など,シナプスの伝達機構との関連において解明されねばならない多くの問題がある。また神経組織としての機能を考える場合,終末の由来の決定,終末の分布など未解決の問題が多く残されている。伝達物質の局在についてはラベルした前駆物質または伝達物質そのものの投与による電顕オートラジオグラフィー,分画遠心法による分離終末についての生化学的な研究などが行なわれている。シナプス間隙,シナプス膜などについては,アセチールコリンエステラーゼ活性の電顕組織化学的研究,さらに巧妙な方法としては酵素の抑制剤をラベルしてそのコリンエステラーゼとの特異的な結合を利用してコリソエステラーゼそのものの局在をしらべる方法が試みられている。興奮伝達機構にとくに関係の深い後シナプス膜の分子構成については伝達物質の特異的結合の機構との関連において注意され,分離膜分画について多くの生化学的実験が行なわれている。
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