Japanese
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特集 シナプス Ⅰ
電顕的シナプトロジーにおける二,三の試み
Some Problems in Electron Microscopic Synaptology
平田 幸男
1
Yukio Hirata
1
1新潟大学医学部第2解剖学教室
12 nd. Dept. of Anatomy, Niigata University School of Medicine
pp.694-706
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903071
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1.
シナプスの形態学において電顕的なそれが独立に存在するわけではもちろんないが,電子顕微鏡像という,情報の媒体が,やや特殊な技術上の条件の下にあること,またその視野が,三次元的に著しく制限を受けている,という条件下で得られた情報を基盤にする点で,やはり別に論じてみる価値があるように思われる。
電子顕微鏡像から得られる情報は,上記の視野の著しい制限性という点から,一種の,抽出された標本(サンプル)についての情報であるといえよう。したがつて標本についての電顕所見と,その背景にある,あるpopulation(→母集団)との関係,とくに定量的なそれの解析が,実は重要な問題であると思われる。しかし,一方で電顕像は,光顕像に比して一見著しくclearcutであり(すなわちS/N比が大であるといえよう。),この点では質のよい情報であるため,標本そのもののとくに定性的パラメーターの,所見(3.の分類における一次情報)に主に解析の対象を限つて,定量的パラメーターの解析や,母集団との関係の吟味から,種々の二次的情報を引き出すことを怠る傾向があるように思える。
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