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特集 シナプス Ⅰ
シナプスにおける酸化還元酵素とホスファターゼ活性について
Activities of Oxidoreductases and Phospatases in the Synapse
平野 寛
1
Hiroshi Hirano
1
1関西医科大学解剖学教室
1Department of Anatomy, Kansai Medical School
pp.708-716
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903073
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神経系に関する従来の酵素細胞化学は,その大部分が光顕的段階にとどまり,電預レベルでの活性検出に成功した例は一般組織の場合に比べると少ない11,15)。しかもその場合においても,従来生理・薬理学的見地から刺激伝達機構と密接な関係をもつと考えられる特定の酵素に過大な重点がおかれる傾向にあつた。したがつて現在ではむしろ代謝全般に関連した各種酵素活性を順次電顕的に検出し,神経系の微細構造の生化学的機能をin situにおいて検証し,神経系の代謝機構の解明をはかることがきわめて重要であると考えられる。
今回,このような課題の解明を目的とする研究の一環として,代謝過程で主要な役割を果たしていると考えられる酸化還元酵素とホスファターゼをとりあげ,ラットおよびマウス大脳皮質表層部を材料に選び,とくにシナプス領野における活性を電顕的に検索した。酸化還元酵素活性検出にはフェロシアン化銅法12)を,ホスファターゼ活性検出にはクエン酸鉛法8,10)を用いた。なおシナプス領野におけるアデノシン・トリホスファターゼ(ATP-ase)活性は中性領域ですてに電顕的に証明されており16),一方生化学的見地より脳内ATPase活性はアルカリ性pH領域に至適pHをもつという報告2)もあるので,ホスファターゼ活性の検出の際にはとくにアルカリ性pH領域に重点をおき,中性領域でえた結果と比較した。
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