Japanese
English
特集 肝脳疾患・Ⅱ
肝脳疾患と脳波
Electroencephalographic Study of Hepato-cerebral Diseases
島薗 安雄
1
Yasuo Shimazono
1
1東大医学部精神医学教室
1Department of Neuro-psychiatry Tokyo University, School of Medicine
pp.483-502
発行日 1959年4月20日
Published Date 1959/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901688
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I.いわゆる「肝性昏睡」時の脳波
いわゆる肝性昏睡の脳波については既にいくつかの文献があるが,その場合に対象となつている症例をみると,比較的急性の,あるいは重篤な肝疾患のさいの死に終る昏睡から,一過性に経過して,ほぼ完全に回復する昏睡発作まで,かなり広い範囲のものが含まれている。筆者はこの場合の対象の範囲をより厳密に検討することが必要であると考えるのであるが,本項では主として文献的に「肝性昏睡時の脳波」として記載されている所を紹介するにとどめ,次の項において筆者自身が観察した症例についての所見を述べてみたい。
一般に強度の意識混濁,殊に昏睡時にのろい波を基調とした比較的平坦な脳波や,振幅の大きいδ波があらわれることは周知のことである。それにもかかわらず,最近特に肝性昏睡時の脳波が注目されているのは次のような理由によると思われる。
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