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特集 第1回国際神経科学会展望・2
多発性硬化症と脱髄疾患
Kurland L.T.,Alter M.& Pearce Bailey:多発性硬化症の地理的並びに疫学的考察
Geomedical and Other Epidemiological Considerations of Multiple Sclerosis
塚越 広
1
1東大冲中内科
pp.630-633
発行日 1958年4月30日
Published Date 1958/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901631
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この問題は神経疾患のEpidemiologyに関する第一人者として知られる米国のKurland L. T.,Alter M. & Pearce Bailey等によつて講演された。多発性硬化症には地理的,国家的,或は人種的差異の存するものであろうか。この問題を追求する事は多発性硬化の原因を追求する上にも,又臨床的研究にも,有意義な示唆を与えるものである。多発性硬化症は世界の殆んどすべての地域に存し,殆んどすべての人種をおかしている。男女の罹患率に差を認めず,都会にも田舎にも同様に存し,主として若年者をおかす。然し,北欧,英国カナダ,米国北部に多く,赤道地帯では比較的少く,又恐らくはアジア地方でも少いであろうという事が知られている。本講演において特に焦点となつた問題は,多発性硬化症の頻度が近年増加しつつあるかどうか? そして又地域的に頻度が異るものか否か? 然りとすれば,この差異は人種的又は遺伝的のものか,気候或は環境のためか,夫々の地方の習性の相違によるものか―などといつた問題について検討することである。
この為には,種々の地域における多発性硬化に関する統計的観察を行う事が必要となるが,その統計には次の様な困難が存する。
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