追悼
Dr.Percival Baileyを偲ぶ
半田 肇
pp.1892-1895
発行日 1973年12月1日
Published Date 1973/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203467
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「先生,いつまでも御壮健でいて下さい。そして,先生の金婚式のお祝いは日本でしましよう」と申し上げると,Bai1ey先生はあの特徴のある温和な瞳でにこやかにうなづかれ,「1973年10月25日だね」と言われた。
1956年の秋,1年余りの留学生活を終え,帰国を前にEvanstonの自宅に食事に招かれた時のことである。広い庭に爐を築かれ,shishkabob (バーベーキュー風料理)を御馳走になつた。白いコック帽をかぶり,エプロンをして肉や野菜を焼いてもてなして下さる先生は,研究室での厳しさとは対照に全くの好々爺であった。食後辞去する私を見送り傍々先生共々家を出た。Chicagoの秋の訪れは早く,Northwestern大学への街路樹の落葉を踏みしめながら,先生と肩を並べて散策した日のことを鮮やかに思い起すのである。最近健康がすぐれず,病臥がちであるとは聞いていたが,約束の金婚式を2カ月後に控えた本年8月突然先生の訃報を受けたのである。
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