建築と設備 第19回
病院の地理学
ウィークス ジョン
1
,
長澤 泰
2
John WEEKS
1
,
Yasushi NAGASAWA
2
2厚生省病院管理研究所
1Llewelyn-Davies Weeks
pp.961-966
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209182
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病院は,かつて至極単純な建物であった.患者は一つの大部屋におり治療の大部分は,安静,保温,食事といったことで構成されていたので,厨房を除けばなんら特殊な部屋はいらなかった.このように原始的な建物から始まって,病院デザインの歴史は複雑化の一途をたどることになる.
19世紀の末,新たに出現した診断・治療技術に対応する建物が必要になり,病院は複雑な様相を呈し始めた.麻酔が可能になった1840年代から,手術は治療の主役の場に躍り出,滅菌技術の発展に伴い,麻酔術は手術を気楽で大胆かつ安全なものに変えた.病理学,生化学,細菌学の発達で検査業務の重要さが増し,放射線学の出現で新しい部門が必要になった.19世紀の終わりには,現代の,あらゆる病院に見られる部門のほとんどが,新しい建物に組み込まれてしまった.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.