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特集 第1回国際神経科学会展望
錐体外路系の病理
F.A.Mettler:錐体外路系の解剖と生理
Anatomy and Physiology of the Extrapyramidal System
下坂 幸三
pp.427-432
発行日 1958年2月28日
Published Date 1958/2/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901606
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時間的な制限のために,錐体外路系の解剖および生理に関する「最近の進歩および当面の展望」といつた問題に限つて話をすすめたい。
特定の遺伝関係および特定の年令に頻繁に出現する錐体外路障害の存在は重要なことであつて,このような錐体外路系の疾患における家族的遺伝的背景についてはLundborg,Van Bogaert,Sjögrenらの遺伝学的研究がある。しかしその遺伝学的研究には出生に伴う諸因子(para-natal factor)が影響し,また原則的方法も常に一定ではなく限度がみられる。これに生化学的方法が加味されるときには,遺伝学的欠陥と代謝異常とを関連せしめうるのであつて,たとえば,フェニルケトン尿性白痴,肝脳変性,類脂症(リポイドージス)等の場合がある。ある場合には,栄養障害と先天的な代謝障害とが共働する。FeiginやWolfにthiamine欠乏と関係あるWernicke様のEncephalopathyにおいて胃腸障害がthiamine吸収を弱める点を指摘している。心血管系の不全も一つの賦与的因子となるが,実際に心血管系は形態・機能ともに遺伝的に強く規定されているのでろつて,何割かの精御神経的疾患は,その遺伝的家族的特質を,循環系を仲介としても考慮されうるものである。
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