シンポジウム—脱髄性疾患
脱髄現象の実験的研究
祖父江 逸郎
1
,
松井 務
1
,
渡辺 恭昭
1
1名古屋大学医学部内科第一講座
pp.139-141
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901550
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脱髄現象の実験的研究は最近幾多の方法で試みられているが,私共はFreundのadjuvant法を使用して実験的脳アレルギーを起し,其の脳髄の生化学的変化を研究した。
脱髄現象の生化学的分析は従来より余り行われず,特に我国に於ては欧米の諸国に比べて,多発性硬化症等に対する概念の相違にも基いていた為か,猶更業蹟が尠い様である。此の脱髄の生化学的諸問題追求に当つて,我六は僅かWallerの二次変性及びmyelinationに伴う変化とか,多発性硬化症を中心とした臨床生化学的研究より,又他方各種酵素に依る実験的研究等より,共の概要を推察し得るにすぎないのである。更に中毒物質や栄養と脱髄の問題が論ぜられているが憶測すらも述べる事は出来ない様な現状である。
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