シンポジウム—脱髄性疾患
討論Ⅱ
pp.136-138
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901549
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武谷止孝(九大精神科)追加の意味で,私の考えを申し上げます。今御覧になりましたように,伊藤君の第1例は,臨床的に,いろんな神経病症状を呈しまして,九大第三内科の池見(酉次郎)助教授がアメリカから帰つて直ぐ,うまく臨床的に診断を下したのであります。剖検して脳を見ますと,視束だけでなく,脊髄にも非常に広汎な脱髄がある上に,脳にもあちこちに脱髄巣があり,akute disseminierte Encephalomyelitis或いはakute multiple Skleroseと云つてもいいだろうということであります。私もそう考えてもよいと思います。
第2例はややこしい例でありますが,所見は,御覧になつた通りで,大体,橋脳,それから小脳を中心として非常に広い範囲に脱髄がある。上の方はおよそ中脳の下部あたり,下の方は延髄まで及び,病巣は大体一つにつながつたもののように見えます。脱髄巣の中では,軸索にも変化があり,多数の脂肪顆粒細胞が出現し,血管周囲の浸潤がある。これに加えて,一側ですが,右の外側脳室前頭角の周辺,Steinerの所謂Wetter Winkelのあたりに,我々がMarkschattenherdと呼んでいる変化があります。これが病変の大まかな姿であります。
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