症例報告
米国管見旅行をかえりみて(1)
冲中 重雄
1
S. Okinaka
1
1東京大学
1Tokyo University
pp.222-227
発行日 1956年1月15日
Published Date 1956/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901498
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昨秋二度目の外遊をして帰つて来て以来,その後,視察して来た各方面の事を少しづつ整理して見たが,全体としての印象記をまとめるようすすめられたので,筆をとることにした。少し日がたつているので今更との感じもするが,ざつと此際旅行全体についての印象を整理してかいて見ることにした。
1954年9月2日に羽田を出発して,同年11月10日に帰着したのであるから,正味2ヵ月の旅行で昔なら,船でマルセーユを往復することもむずかしい位の期間である。しかし,米国を2ヵ月とびまわって来た今回の旅行は,おそろしく疲れを覚え,当分は外国へ旅行する気持も起らない位であった。一つには年のせいもあるが,近頃の旅行が飛行機のスピードに支配されて,全般として仕事が早くなり,気持もそれに相当してせわしくなるので,それに米国と云う所の能率的でせわしい社会環境に圧迫もされ,その上に外国語の不充分さをおぎなおうとする絶えざる努力によつて,昔とは比較にならない位の疲労が出たのではないかと思う。前の時は,呉建先生のお伴について歩いたので,責任も軽かつたが,今度は妙に責任と云つたものを強く感じたせいもあると思う。
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