談話
癌の生物學管見
中原 和郞
1
1癌研究所
pp.164-168
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905566
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私はこういうお話をするのが不得手なので何時もお斷りすることにしているのですが,この會には昨年も呼ばれましたし,是非にというので參りました。昨年春,久留君に頼まれて,金澤まで講演に參りましたが,その時は,標題をどうするかと云うので,私は癌のことについて何でもしやべれる樣にしておいてくれゝば題はどうでも良いからと云う樣なことを云つときました所,行つて見ますと「癌研究の過去,現在及び未來」ということで,成程それなら勝手にしやべれるわけですが余り題が大袈裟なので降參しました。今度はそんなわけで,私考えまして,「癌の生物學管見」として下さいとお願いしたのですが,これは實は私仲仲得意なので,こうしておけば,何でも勝手にしやべつて良い。癌を大空にたとえれば,私はそれを望遠鏡でのぞいてお話すれば良い。ピントをどの邊にあわせてもそれはかまわない。望遠鏡は,場合によれば,顯徴鏡でもかまわない。しかもインメルジョン等でしぼつた極く極く小さい部分の話になるかも知れない。そのつもりでお聞き願いたいと思います。
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