原著
米国管見旅行をかえりみて(2)
冲中 重雄
1
S. Okinaka
1
1東京大学
1Tokyo University
pp.203-208
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901517
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New Yorkで,始めの2〜3日は団体見学旅行の一行に加わつてCornell,New York,Columbiaの各大学で講演をきき,又見学をした。Dr. Barr,Dr. Wright,Dr. Hugh Lucky等の動脈硬化その他循環器系の講演をきいたが,それは省略し,Dr. Ellen Mc Devittの脳の血管性障害に対するAnticoagulant療法を紹介しておかう。用いたAnticoagulantの中にはHedulinがあり,之は,最近作られた比較的効果の安定した,副作用の少い血液凝固阻止剤である。用量は毎日経口的に50〜100mgであると云う。31例の患者について,対照的時期としてのべ737ヵ月間に薬を使用しないで観察するとその間脳の症状(Cerebral episode)がのべ46回見られたが,その後同一患者群で711ヵ月の間Anticoagulantを使用して観察するとその間4回しか発作が見られなかつたと云うことであつた。又,85例の同様患者で対照観察期間3,673ヵ月の間に脳発作が290回見られたに反し,薬剤使用の3,552ヵ月間には32回の発作しか見られなかつたと述べている。Anticoagulantとしては周知の如く古くからヘパリンHeparinが知られているが,此ものは副作用(出血等)のため臨床的応用が仲々困難とされていた。
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