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米国管見旅行をかえりみて(4)
冲中 重雄
1
1東京大学
pp.203-209
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901560
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此稿もこれで4回目になつたが,少しく古いことなので気がひけてきた,きりもよいので今回でやめにしたい。
シカゴではIllinois Neuropsychiatric Instituteを訪問した。ここは有名なDr. P. Bailey教授の本拠である。清水教授の紹介をもつていたので,よくしてもらえた。私共の教室の鬼頭君が前年度一カ年間ここで勉強しておつたことがありBailey氏の祕書のMiss Kahn――この方は年配の婦人でミス,カーンと呼んではいるが,立派な米人ドクターの細君である。夫婦きりの家庭であるので,奥さんの方が永年Bailey教授の秘書をつとめている。大変親切な婦人で,鬼頭君に対しては母親のようによく世話してくれたらしい。今も昔の娘の時のままMiss Kahnと皆が呼んでいるのである。Bailey教授は大御所で私が行つた時は,脳の病理組織標本を顕微鏡でのぞき乍らResident,Intern等に教え医ていた。又,Bailey氏につれられてDr. Oldberg(Neurosurgery)が座長をしたCPCにも出席した。小講堂に教授連と,医師,インターン等がぎつちり集まつている。CPCについては前にものべたようにすこぶる手ぎわよくはこばれ,私が念のため時間をはかつていたら,50分の問に8例の脳疾患を中心にした臨床病理学的検討をすましてしまつた。その間大家連や,一般医師の発言も沢山出ているのである。
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