Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
中枢神経系における神経細胞は,互いに結合し合ってその機能を作り出している。哺乳類の中枢神経系の機能を明らかにするために,神経解剖学的,神経生理学的方法を用いて神経細胞相互の結合関係をときほぐす努力がなされてきた。しかしながら,われわれが現在理解している哺乳類中枢神経系の神経細胞のうち,その形態の全貌を知っている神経細胞の数は,驚くほど少ないということができる。1個の神経細胞について考えると,多数の異なる部位からその細胞への収束性入力については,神経生理学的方法で比較的容易に調べることができるので,われわれはある程度の知見を持っている。しかしながらその逆に,単一神経細胞の出力が複数の標的部位にどのように発散しているかは,調べる方法の難しさのため,われわれの知見は限られている。運動制御の中心的役割をなす大脳運動野,視床,小脳の神経回路を構成する神経細胞,さらに錐体路をはじめとする運動指令を上位中枢から脊髄へ伝える下行路細胞などは,いずれも長い軸索を有しているため,これまでその形態はまったく不明であった。われわれは,HRP細胞内染色法と連続切片による3次元再構築法を用いて,これらの系の単一細胞の形態を解析し,10~30mmにわたって各細胞の軸索投射様式を明らかにしてきた。誌面の都合で,シンポジウムで取り上げた単一神経細胞の形態に関する内容の一部について以下に述べてみたい。
Neurons in the central nervous system (CNS) are functionally interdependent, and this interdependency is correlated with precise and coherent morphological interrelations. Neuroscientists have tried to unravel these interrelations in relation to various brain functions for this century. Neuroanatomists have provided details of the somatodendritic characteristics of neurons in various parts of the CNS using the Golgi technique, but could not unravel their axonal morphology.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.