Japanese
English
特集 頸部脊椎症にみられる神経障害
序文
Neurology of cervical spondylosis―Introduction.
平山 惠造
1
Keizo HIRAYAMA
1
1千葉大学医学部神経内科
1Department of Neurology, School of Medicine, Chiba University
pp.177
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900318
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
頸部脊椎症が近世医学の中に登場したのは前世紀の中葉である。しかしこれが本格的に近代医学の対象として検討,研究されるようになったのは今世紀の中頃とみてよい(Wilkinson,1967)。それから半世紀を経た今日においても,この一見解り切ったように思われている疾患が,必ずしも広く且つ十分に理解されているとはいえない。本症は臨床像がuniformでなく,いくつかの臨床病型を呈することが特徴の一つといえよう。これは頸椎変形と頸髄,頸神経根との関わり方の多様性によるためで,病態機序の複雑さを示すものである。
頸部脊椎症を論ずるに当っては次の二点が問題となる。第一は名称である。本来は変形性頸部脊椎症spondylosis deformans cervicalis(ラテン語)と呼ばれるものが,頸部脊椎症や変形性頸椎症などと簡略化されて,もっとも短縮されたのが頸椎症cervical spondylosis(英語)である。しかしこの頸椎症という表現のためややもすると疾患概念が不明確になり,後縦靱帯骨化症や頸椎辷り症,あるいは単純な椎間板ヘルニアも含めて論ぜられることがある。変形性頸椎症と呼ぶほうが誤解が少ないが(これに相当する慣用語が英語にはないらしい),今日では頸椎症の名が一般化してきている。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.