特集 オフィスサージャリー・ショートステイサージャリー
序文
八木 聰明
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科
pp.5
発行日 2008年4月30日
Published Date 2008/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101239
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本年の増刊号として『オフィスサージャリー・ショートステイサージャリー』を企画しました。耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の疾患で手術が最良の治療法であることが決定された場合,患者側のニーズが安全で確実な手術,早期に元の生活に復帰できる手術となるのは当然のことだと思います。これは,患者側だけでなく,社会全体のニーズでもあります。長期の入院は,患者だけでなく社会の損失にもつながるからです。われわれ耳鼻咽喉科・頭頸部外科医は,その患者あるいは社会的ニーズに正面から取り組み,応えなければなりません。手術手技の向上,手術器具の開発,外来・入院を含めたシステム全体の構築などが求められます。多くの医療施設ではこれらへの対応が進んでいますが,まだすべての点で対応ができ上がっているわけではありません。今後も,一層の努力が必要だと思います。一方で,これらの社会的ニーズがすべて適切かどうかは,また別の事項として考えなければなりません。同じ疾患であっても,その患者個人個人によって病態や合併症を含めた全身状態が異なるからです。すなわち,この疾患ならすべてオフィスサージャリーあるいはショートステイサージャリーの対象になるというものでないことも事実です。同一疾患であっても,人によっては少し長めの入院が必要な場合もあるからです。オフィスサージャリー・ショートステイサージャリーの適応に関する判断は,医師側にその責任があります。手術に際しては,医師の十分な説明と患者の同意が必要なことは論を待ちません。
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