特集 椎間板変性の病態と治療
序文
酒井 大輔
1
pp.238-238
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/seJ.0000000027
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関節にはsynarthrosis,amphiarthrosis,diarthrosisといった古典的な分類があるが,椎間板は自由な可動性(diarthrosis)を示す四肢の関節と異なり,可動性がわずかとされるamphiarthrosisに属する。このことが示すように,同じ軟骨性組織ではあるが,関節軟骨と椎間板はその発生,構造から多くの相違を認める。特に人体最大の無血管臓器としての特性である,免疫寛容,抗血管新生,低酸素への順応には特別な微小環境(ニッチ)に対する細胞機能を有することが分子レベルで解明されつつある。椎間板研究を継続して来て思うことはこの特殊な細胞とニッチを解析することは椎間板変性に対する理解を深め,新規治療法を創出するだけでなく,自己免疫疾患,臓器移植後の拒絶反応の制御や,がん治療にも新たな知見をもたらすのではないかということである。
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