1200字通信・95
専門化の落とし穴
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.1061
発行日 2016年9月20日
Published Date 2016/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211284
- 販売していません
- 文献概要
ある大病院で胃の手術を受けた患者さんが,便秘がひどくなり,先生に相談したそうです.その先生は,「便秘は腸の問題だから,腸が専門の先生に診てもらいましょう」とのご返事.80歳に近いその方は,それから通院のたびに二人の先生に診てもらうことになったそうですが,今度は腸の「専門医」から,「高齢で詳しい検査もできないし,胃の術後だから,胃の主治医に相談しなさい」と言われ,そのうち「歳のせいだから,仕方ない」ということで話が途切れたそうです.
結局,困っている様子を見兼ねた家族に付き添われて当院を受診されたのですが,消化器として一連の,元より密接な関係の胃と腸でそれぞれの専門家が診るとは,「流石は大病院」と感心してよいのやら,余りに料簡が狭いと嘆くべきなのか,相談されたこちらとしても説明に困ったことではありました.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.