特集 恐れず恐れよ!骨転移診療 超実践ガイド
Part3 病期からみた骨転移ケアの超実践
骨転移リスクを抱えるのは、どのような患者か—臨床現場から学ぶ特徴と傾向
伊村 慶紀
1
1大阪国際がんセンター整形外科(骨軟部腫瘍科)
pp.439-441
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200336
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これまでは骨転移が生じた場合、その後の生命予後は短いとされてきた。しかし、近年の集学的ながん治療の進歩により以前より生命予後が延び、その結果、骨転移を患うがん患者数も増加している。骨はがんの好発転移部位のひとつであり、がんの進行とともに骨転移の頻度は上昇する。よって、進行がん患者の診察に際しては、常に骨転移の存在を念頭に置くべきである。
特に、骨転移の初期は無症状の場合も少なくなく、初回診断時には27〜60%が無症状であると報告されている1,2。痛み、病的骨折、脊髄圧迫、高カルシウム血症は、骨転移に伴う症状として代表的なものであるが、このうち、痛みを除く病的骨折、脊髄圧迫、更にこれらに関連した放射線療法、外科手術を合わせた4つの事象(高カルシウム血症も含めることがある)をまとめて骨関連事象(skeletal related events;SRE)という。これまでの多くの臨床的検討からSREが患者の日常活動度(activities of daily living;ADL)や生活の質(quality of life;QOL)の低下、予後の悪化に大きく影響することが知られている。これらの点からSREの発現を予防、治療することは臨床的に意義があり、骨転移の治療目標のひとつであると考えられており、適切な治療を行ないながら生活レベルを維持することが重要である。
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